2015/07/29

黄色く染まるフランスの夏

毎年7月の3週間。フランス中が黄色に染まり、静かな山道、素敵な田舎町が巨大なスポールスタジアムに変わります。

ラストのシャンゼリゼはトリコロールの戦闘機が迎えますラストのシャンゼリゼは
トリコロールの戦闘機が迎えます

7月26日、第102回目のツール・ド・フランスが終了しました。

ツール・ド・フランス(略されてツールと呼ばれることが多いです)はフランスで100年以上続く伝統ある自転車ロードレースです。1チーム9人でフランス全土を3週間約3500キロ走り抜け、その総合タイムを競います。チームの勝利はもちろん。個人同士の争い。さらに、各ポイントに様々な賞が設けられていて、期間中は一時たりともファンは目が離せません。

「チーム戦術?集団をコントロール?逃げ?吸収?自転車競技は難しくてよく分からない」
「みんなサングラスにヘルメットで、誰が誰だか見分けられない」
自転車競技に興味がない。複雑すぎて理解できないから苦手だ。
そんな人でも大丈夫。1度ツールを見てください。日本からテレビ中継で見ても、その魅力を必ず感じるはずです。
難しいことは、さておいて、リラックスして眺めてみましょう!

ツール・ド・フランスは、その言葉通り「フランス1週」するスポーツ。
競技期間3週間という長さも特徴的ですが、フランス周遊旅行をするかのごとく日々移動し続けて、国全体が勝負の舞台となります。

美しい風景に歴史ある建造物。誰もが知る世界遺産からガイドブックにも出てこない遺産や遺跡の数々まで。夏の強い日差しを浴び色鮮やかに輝く銀輪の集団が、みなさんをフランスの名所にお連れします。まさに、1年1回の夢のフランス旅紀行です。

トップライダーとの距離の近さも魅力のひとつですトップライダーとの距離の近さも
魅力のひとつです

自転車の本場・フランスでも、沿道に集まる観戦者は自転車競技に詳しい人ばかりとは限りません。子どもたちからお年寄りまで、そこに垣根はありません。山間の澄んだ空気を楽しむ人。ワイン片手に選手の到着をまったり待つ人。同じコースを走ってみて選手気分を味わう人。「我が住まう街」を選手たちが颯爽と風を運んでくることを楽しみに待っています。その楽しみ方は人それぞれ。
ここフランスでは長い夏のバカンス期間ということもあって、その様子はまるで3週間続く夏祭りといった雰囲気でしょうか。

お気に入りの選手の応援は道路にペイントお気に入りの選手の応援は道路にペイント

スタート地点はスターに出会える最大のチャンススタート地点はスターに出会える
最大のチャンス

今年のコースは(フランス全土を時計周り、反時計周りと毎年変わります)、オランダ・ユトレヒトをスタートし(かつてはフランス国内のみが舞台でしたが、近年はスタート地の立候補が近隣諸国からもあり、イギリス・モナコ・スペインなどヨーロッパ諸国をスタートします)ベルギーを通過し、フランス北部に入り、ピカルディー地方、ノルマンディー地方、ブルターニュ地方と大きくパリを回るように走る平地中心の割合穏やかなステージが続く1週目。次に、まず、ピレネー山脈で激しい山々が選手たちをふるいにかける2週目。そして、最終週は、死闘が繰り広げられる決戦の舞台・アルプス山脈。全ての決着を終えて、最終日はパリ市内を凱旋走行し、シャンゼリゼにてフィナーレを迎えるという贅沢なコースレイアウトでした。

これからアルプス山脈へ!選手の姿はまだか?これからアルプス山脈へ!
選手の姿はまだか?

ピレネー山脈にてプロトンを待つキャンピングカーピレネー山脈にてプロトンを待つ
キャンピングカー

見どころは、なんといってもアルプス・ピレネーの2つの山岳地帯です。真夏でも雪をまとった高峰たちが選手たちをあざ笑うかのように厳しい激坂を用意して待ち受けます。 天まで突き抜けるかのような真っ青な空の下、力尽き散っていく選手。 己の肉体のすべてをかけて挑む選手たちの姿には目頭が熱くなるほどです。

自転車乗りにとってフランスは憧れの国。

「ツールで見たあの景色の中を走りたい」
私自身、学生時代に自転車1台だけを持ってフランスに来ました。目指すは何度も何度も見てきたはずのアルプス山脈にピレネー山脈。ひとつのフランス語も覚えず、ただ地名と地図だけを頭に入れて、ひたすらペダルを回し続けた30日間。ロードバイクに乗って19年ほどになりますが、いまだに、あの時ほど印象に残るライドはありません。

フランスに住んでわかったことがあります。フランスの大自然の魅力は何もアルプスやピレネーだけではありません。ノルマンディーやブルターニュといったパリからでも気軽に行けるようなところでも、日本では考えられないほどの雄大な大地が広がります。どこまで行っても絵葉書のような風景の中でサドルの上で激しい有酸素運動をする。しかもそこは、ツールのコースだったりして!
自転車乗りにとって、こんな贅沢な場所は他にはありません。

ツール・ド・フランスの魅力は語り尽くせないほどたくさんあります。まだその魅力を知らない人は、騙されたと思って一度ご覧になってください。
「一生かけて見守っていきたい」と強く思えるほど奥深くて愛おしいスポーツ。
今日も、あの道を彼らが走っている。そう考えるだけで、楽しくて仕方なかったフランスの銀輪たちの3週間。

自転車乗りの黄色く輝く夏は一足早く過ぎ去ってゆきました。

シャンハイ★Shanghai