
今、夜の街に緑色の提灯が急増しています。なぜ赤ではなく緑なのか。不真面目なようで実は大真面目。日本の農家を救うかもしれない壮大なプロジェクトとは?
■急増『緑提灯』!飲んで照らす『農』の未来

高橋「ありました、ありました。緑、緑。緑だ!」
環状線の福島駅からほど近いこちらのお店。増殖する緑提灯はABCから徒歩5分の所にもありました。
【お客さんは・・・】
「実は単身赴任なんで、野菜食べていないのでどうしても今日食べたいということで・・・」

焼き野菜『菜の音』。お店のウリはその名の通り!『新鮮な野菜』です。
しいたけの焦がしウニしょう油や野菜のお寿司など、ヘルシーな『アテ』に女性もお酒が進みます。
【女性客も・・・】
「もう6杯目です!」
高橋「6杯目?飲みますね〜」
そんな彼女たちをやさしく見守る緑の光に込められた願い。それは・・・。
食料自給率の向上。およそ40パーセントと低迷する日本の食料自給率。『それを何とかしよう』という思いを共有し、『国産の食材を50パーセント以上使っている』ということをお客さんにアピールするためのシンボルとして緑提灯は作られました。この趣旨に賛同する店なら、事務局に申請して提灯代の実費などと簡単な審査で、誰でも参加することができるんです。発案者で稲の品種改良の研究者、丸山さんはこう語ります。
【農研機構中央農業総合開発センター 丸山清明所長】
「最初は全都道府県の居酒屋に緑提灯店を作って出張行ったら、そこで飲もうと、そういう下心もありましたんで・・・」
少々、軟派な動機で始まった緑提灯運動。
ところが、口コミでうわさが広がり、緑提灯を掲げるお店は3年で全国津々浦々2500店舗を超えました。
高橋「なぜ緑色なんですか?」
丸山「単純で、信号機の赤は止まれでしょ。『緑は進め』ですから、お父さんたち『緑提灯に進め』と。世のお父さんが緑提灯を目印に飲めば、ほんのちょっぴり日本の食料自給率が上がる」
緑提灯の居酒屋で飲みながら農業のことを考える・・・。ということで、『菜の音』の上甲店長にいっぱいやりながら聞いてみました。
【焼き野菜・菜の音 上甲博司さん】
「やっぱり国産のものにこだわりたいっていうのがあって、お客さんに目で見てわかって貰うためにつけたんです」
高橋「実際に事務局から、提灯が届いた日は?」
上甲「届いた日びっくりしましたよ。星の数が『自己申告制』というのがびっくりしました」
50パーセント以上が星1つ、60パーセント以上で星2つ、10パーセントごとに星の数が増え最高が90パーセント以上の星5つです。
上甲「ちょっとでも怠けるとお客さんって鋭いんで、必ず見抜かれてしまう。僕らも気が抜けません」
胸を張って5つ目の星を掲げるため、上甲さんは店を上げて『野菜』の勉強を始めました。
大阪府箕面市。白菜、大根、キャベツなど年に60品目の野菜を栽培している『やなもり農園』。経営者の梁守さんは、作物を卸すお店に野菜の味を最大限引き出してもらうため、希望者に指導を行っています。
【梁守壮太さん】
「ダイコンの上の部分はサラダ、真ん中は料理に、先はダイコンおろしに使う。というように調理してください。ニンジンの中の芯は普通おいしくないですが、このにんじんは芯の部分が殆ど無い。甘みが詰まっている」
「一般のお客さんが『こういうこだわりを持ったお店なんだ』というのを理解して入って来て頂けるというのは、すごく有難い。農家っていうのは、結局『売り先が無い』というのがまず1つの問題点になってまして、そういうネットワークを作っていったら、逆においしいものを提供できるし、サービスも向上していくと思うんです」
『愛する野菜たちを、おいしく食べてほしい』。上甲店長も、農家の梁守さんも思いは1つです。そして、2人の思いが詰まった食材は、今晩も緑提灯のともるお店で振舞われます。
大東市で畳店を営む上村さん。国産の畳にこだわる彼もまた、緑提灯の輝きに魅了された1人です。
【うえむら畳商店 上村勇一さん】
「よく考えたら畳って農産物なんで・・。土台が元々ワラであったり、表面がイグサであったり、同じ農家が作るものなら1回申し込んでみようかなと」
畳の原材料となるイグサはもともと『青いダイヤ』とも呼ばれ岡山や広島などで生産されていました。しかし、畳を張り替える家が少なくなり、農家は減少。上村さんが緑提灯を掲げたのは国産の良質イグサを作る農家を守りたいという思いからでした。
上村「国産のものは粘りがあるので、非常にしなやかです。畳の表は1本1本を織っていってるので・・・」
夜の世界を飛び越えて、日本の農業のために活躍する緑提灯。こちらの商店街ではさらなる驚きがありました。
高橋「今、緑提灯は全部でいくつ?」
【野田阪神駅前通商店会会長 山口達也さん】
「全部で11個あると思うんですけどね・・・」
高橋「11個!?」
野田阪神駅前通商店会、会長の山口達也さん。商店街中ほどの焼き鳥屋さんが、緑提灯を掲げたのを見て、『緑提灯で町おこしを』と考えました。
【焼き鳥一番 店主】
「焼き鳥に使っている鶏は全て京都から。魚でしたらマグロなどは生しか使わない」
緑提灯の明かりは商店街にどんな変化をもたらしたのか。緑提灯を『はしご』をしてみるとサラリーマンだけでなく、カップルやファミリー層が気軽に来られる明るい商店街を目指すという、仲間たちの絆が見えてきました。
高橋「緑の提灯をやってみてどうですか?」
【店主らは・・・】
「この商店街の中でももっと広げたい。仲良くなったんじゃないですか?」
「話題が1つ出来たということで商店街の中ででも色んなつながりも持てたという意味ではうれしいです」
骨身にしみる不況で、赤提灯の火まで消えそうなこの時代。新たに灯る緑の明かりは、明日の農業を照らす小さな希望の光です。